難解なアトピー性皮膚炎治療ガイドラインを分かりやすく解説!

日本皮膚科学会というところが出している、アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインなるものがあります。

この治療ガイドラインを元にお医者さんは診断したり薬を出したりしています。

原文を読んでみると、長ったらしくていちいち難しい言葉でつらつらとアトピーについて書かれてあります。

 

 

ここでは、「何が書いてあるのか知りたいけど、全部読むのはつらい」という方の為に、難しい言葉を簡単な言葉に変換し、かつ要点のみをまとめてみました。

興味のある方はどうぞ!

 




 

遍歴

1994年:日本皮膚科学会によるアトピー性皮膚炎の診断基準を策定

2001年:重症度分類は1998 年の中間報告を経て、2001年に策定

2000年:日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療ガイドライン策定(その後2003年、2004年に改訂)

2008年:アトピー性皮膚炎の診断基準、重症度分類、治療ガイドラインを統合したものとして、アトピー性皮膚炎診療ガイドラインを策定

 

アトピー性皮膚炎について概要

アトピー性皮膚炎とは、皮膚の機能異常を伴い、外部からの刺激あるいはアレルゲンの関与により炎症を生じ、慢性の経過をとる湿疹である。

アトピー性皮膚炎は表皮、なかでも角層の異常に起因する皮膚の乾燥とバリアー機能異常という皮膚の生理学的異常である。

 

 

また、外部からの刺激反応およびアレルギー反応が関与して生じる慢性的な炎症とかゆみを症状とする湿疹・皮膚炎群の疾患である。

治療法については、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏による外用療法を主とし、保湿・保護剤外用などを含むスキンケアを行い、かゆみに対しては抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服を補助療法として併用する事が基本である。

適切な治療により症状がコントロールされた状態に維持されると、自然に完治する事も期待される疾患である。

 

アトピー性皮膚炎の定義

アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を症状とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ。

 

 

アトピー素因とは:

①家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患)

② IgE抗体を産生しやすい体質

アトピー性皮膚炎の診断基準

 

 

1.かゆみ

2.特徴的皮疹と湿疹場所

・参考となる年齢による特徴

乳児期:頭、顔にはじまりしばしば体幹、四肢に下降

幼小児期:首、四肢関節部

思春期・成人期:上半身(頭、首、胸、背)

 

 

3.慢性・反復性経過

乳児では2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上、良くなったり悪くなったりを繰り返す

 




 

症状の度合い

重症度やかゆみの強さを湿疹の状態や問診などで判断する。

例えば問診の中で、「最近 12 ヶ月のあいだに、平均してどのくらいの頻度あなたのお子さま(あなた)はこのかゆみを伴った湿疹のために夜間起きていることがありましたか?」という質問を用いて「1週間に1晩かそれ以上」で眠れないことがある場合は重症と判断している。

 

 

痒みの評価にはVisual analogue scale(VAS)が有用である。

VAS は痒みの程度に応じて10cmの線分上の1点に印を付け、左端の「痒みなし」を0、右端の「最もひどい痒み」を100として、左端から印を付けた部位までの距離(mm)を痒みの尺度値として評価する方法である。

治療の主体である外用療法の選択は「個々の湿疹の重症度」により決定される。

 

 

すなわち、範囲は狭くとも重症の湿疹には十分に強力な外用療法が選択されるが、反対に範囲は広くとも軽度の湿疹には強力な外用療法は必要としない。

よって、外用療法の選択のためには「個々の湿疹の重症度」が最も重要であり、重症度判定はその判断を下し、さらには治療効果を予測しうるだけの皮膚科診療技能を有する医師によってなされなければならない。

 

治療方法

1.治療の目標

治療の目標は患者を次のような状態に到達させることにある。

(1)症状はない、あるいはあっても軽微であり、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない。

(2)軽微ないし軽度の症状は持続するも、急性に悪化することはまれで悪化しても遷延することはない。

 

 

2.薬物療法

アトピー性皮膚炎は遺伝的素因も含んだ多病因性の疾患であり、疾患そのものを完治させうる薬物療法はない。

よって対症療法を行うことが原則となる。

 

 

(1)炎症に対する外用療法

現時点において、アトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静しうる薬剤で、その有効性と安全性が科学的に立証されている薬剤は、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏である。

その他の外用薬では、非ステロイド系消炎外用薬があるが、抗炎症作用は極めて弱く、接触皮膚炎を生じることがまれではなく、その適応範囲は狭い。

 

 

1)ステロイド外用薬

ステロイド外用薬の効果の高さと副作用の起こりやすさは一般的には比例することから、必要以上に強いステロイド外用薬を選択することなく「個々の湿疹の重症度」に見合ったランクの薬剤を適切に選択することが重要である。

 

 

・ステロイド外用薬の剤型:軟膏、クリーム、ローション、テープ剤などの剤型の選択は病変の性状、部位などを考慮して選択する

・ステロイド外用薬の外用回数:急性増悪の場合には1日2回(朝夕:入浴後)を原則とする

 

 

ただし、ステロイド外用薬のランクを下げる、あるいはステロイドを含まない外用薬に切り替える際には、1日1回あるいは隔日投与などの間欠投与を行いながら、再燃のないことを確認する必要がある。

ストロングクラス以上のステロイド外用薬では、1日2回外用と1回外用の間に、3週間後以降の治療効果については有意差がない。

 

 

外用回数が少なければ副作用は少ないことを考慮すると、急性増悪した湿疹には1日2回外用させて早く軽快させ、軽快したら1日1回外用させるようにするのがよい。

ただしミディアムクラスの場合には、1日2回外用の方が1日1回外用よりも有効である。

 

 

・ステロイド外用薬の外用量:人差し指の先端から第1関節部までチューブから押し出した量(約 0.5g)が、成人の手で2枚分すなわち成人の体表面積のおよそ2%に対する適量である

 

 

ベリーストロングクラスのステロイド外用薬の長期使用試験結果より、湿疹の面積にも左右されるが通常の成人患者では十分量である1日5gないし10g程度の初期外用量で開始し、症状に合わせて減らす使用法であれば、3カ月間までの使用では一過性で可逆性の副腎機能抑制は生じうるものの、不可逆性の全身的副作用は生じない。

3カ月以上にわたって1日5gないし10g程度のステロイド外用薬を連日継続して使用することは極めて例外的であるが、そのような例では定期的に全身的影響に対する検査を行う必要がある。

 

 

乳幼児、小児においてはその体重にもとづき、成人での使用量から換算した量を初期外用量の目安とする。

・外用中止:炎症症状の鎮静後にステロイド外用薬を中止する際には、急激に中止することなく、症状をみながら原料あるいは間欠投与を行い徐々に中止する。ただし、ステロイド外用薬による副作用が明らかな場合はこの限りではない。

・顔面:高い薬剤吸収率を考慮して、原則としてミディアムクラス以下のステロイド外用薬を使用する。その場合でも1日2回の外用は1週間程度にとどめ、間欠投与に移行し、休薬期間を設けながら使用する。

 

 

近年しばしばみられる成人患者の顔面の紅斑性病変の多くは、掻き毟りなどを含むステロイド外用薬以外の要因に起因するものではあるが、局所の副作用の発生には注意が必要な部位であり、処方に当たっては十分な診察を行う。

なお、顔面はタクロリムス軟膏の高い適応がある部位であり、そのガイダンスに従って使用することも積極的に考慮する。

 

 

・コンプライアンス:ステロイド外用薬に対する誤解(ステロイド内服薬の副作用との混同、およびアトピー性皮膚炎そのものの悪化とステロイド外用薬の副作用との混同が多い)から、ステロイド外用薬への恐怖感、忌避が生じ、コンプライアンスの低下がしばしばみられる。

その誤解を解くためには十分な診察時間をかけて説明し指導することが必要であり、それが治療効果を左右する。

 

 

・ステロイド外用薬の副作用:密封外用療法では0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏(ストロングクラス)の10gの外用、単純塗布ではその20gの外用が、副腎機能抑制を生じうる1日外用量であると報告されている。

しかしながらこのような多量の外用を日常診療で継続して行うことは極めて例外的である。

ステロイド外用薬を適切に使用すれば、日常診療における使用量では、副腎不全、糖尿病、満月様顔貌などの内服薬でみられる全身的副作用は起こり得ない。

局所的副作用のうち、ステロイド瘡、ステロイド潮紅、皮膚萎縮、多毛、細菌・真菌・ウイルス性皮膚感染症などは時に生じうるが、中止あるいは適切な処置により回復する。

 

 

ステロイド外用薬の使用後に色素沈着がみられることがあるが、皮膚炎の鎮静後の色素沈着であり、ステロイド外用薬によるものではない。

まれにステロイド外用薬によるアレルギー性接触皮膚炎が生じうるが、その際、基剤や添加物による接触皮膚炎にも注意する。

 

 

2)タクロリムス軟膏

タクロリムスは副腎皮質ステロイドとは全く異なる機序でTリンパ球の機能を抑制する。

タクロリムス軟膏はステロイド外用薬では治療が困難であったアトピー性皮膚炎に対しても高い有効性を期待し得る。

しかし本剤の薬効は薬剤の吸収度に依存しており、塗布部位およびそのバリア機能の状態に大きく影響をうける。

2歳未満の小児には安全性が確立していないため使用できない。

また妊婦や授乳中の婦人にも使用しない。

 




 

悪化因子の特定

患者と医師の間での信頼関係が構築され、薬物療法が十分に行われれば、治療の目標を達成しうる場合が多い。

しかしながら、社会生活・日常生活の中で個々の患者に特有の悪化因子が存在することも多く、このような悪化因子の特定ならびに対策はきわめて重要である。

 

 

乳児では食物アレルゲンの関与が認められることがある。

乳児期以降では環境アレルゲン(ダニ、ハウスダストなど)の関与が疑われ、その他すべての年齢層で外用薬を含めた接触因子、ストレスなどが悪化因子となりうる。

 

 

アレルゲンの関連性については、病歴、皮膚テスト、血液検査などを参考に、可能なものであれば除去ないし負荷試験を行ってから判断すべきであり、例えば臨床症状のみ、あるいは血液検査のみで判断されてはならない。

また、アレルゲンを明らかにしえた場合でも本疾患は多因子性でありアレルゲン除去は薬物療法の補助療法であり、これのみで完治が期待されるものではないことを認識すべきである。

 

患者への生活指導

一般的にアトピー性皮膚炎では下記の生活指導が有用である。

*入浴、シャワーにより皮膚を清潔に保つ

*室内を清潔に保ち、適温・適湿の環境を作る

*規則正しい生活をおくり、暴飲・暴食は避ける

*刺激の少ない衣服を着用する

*爪は短く切り、掻き毟りによる皮膚障害を避ける

*顔面の症状が高度な例では眼科医の診察を定期的に受ける

*細菌・真菌・ウイルス性皮膚感染症を生じやすいので、皮膚をよい状態に保つよう留意する

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