赤ちゃん・子どものアトピー治療

赤ちゃん・子どものアトピー治療ーステロイドにNO!を
発行:2010年9月1日
著者:佐藤健二・佐藤美津子

著者紹介

脱ステロイド・脱プロトピック・脱保湿を掲げている、アトピー業界(?)では有名な御仁方です。

佐藤健二先生は阪南中央病院に在職、佐藤美津子先生は佐藤小児科を開業されています。(2014年4月25日現在)

多分ご夫婦・・・?(´д`;)

昔とは少し形態の変わってきた現代のアトピー性皮膚炎に対して真摯に向き合い、その原因をステロイドやプロトピック、保湿過多による副作用だと主張されています。

日本皮膚科学会によってつくられた「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」(※ステロイド推進の治療方法)の内容を改定するよう呼びかける署名も行っています。

 




 

アトピーっ子患者をカラーページで紹介

まずページをめくると、脱ステ中で顔がズルズルの赤ちゃんの写真がドーン!と目に飛び込みます。

この赤ちゃんには失礼ですが状態がかなりひどいため、何も知らずに本を開いた読者には少しショッキングな写真です。

 

正しい入浴方法

アトピー性皮膚炎の患者の肌には黄色ブドウ球菌が多い事が知られています。

その為、この菌を除去しなければならないと、1日に何回も入浴をし石鹸でごしごしと洗っている親がいますが、これは大変な間違いです。

洗いすぎると皮膚を刺激し、表面の皮脂を除去し、角層をこすりとり、滲出液を出しやすくします。

皮膚の細胞が自分でつくる抗菌物質も洗い流すことになり、結果として弱った皮膚は細菌感染症を引き起こします。

また、黄色ブドウ球菌を洗い流そうとしても、菌はすぐに増殖します。

極端な言い方をすれば、皮膚表面から菌をなくす為には、1日中石鹸で洗い続けなければならない事になります。

入浴の目的は体についている汚れを落とすだけと考え、むやみやたらに常在菌や皮脂を落とさないようにしましょう。

頻度については、汗をかく時期は1日1回必ず入浴し、強くこすらなければ石鹸を短時間使用しても問題ありません。

乾燥する時期は2~3日に1回程度で石鹸は可能な限り使用しない方が良いでしょう。

入浴時間は短くしてください。

長く入れば入るほど皮膚はふやけ、皮脂が減り、皮膚がガサガサになります。

また体が温まって痒みが強くなります。

入浴は皮膚に良いとか悪いとか一律に決める事は良くありません。

上手に付き合っていきましょう。

 

温度調節に注意!

赤ちゃんは往々にして暑がりです。暑さは痒みを誘発させます

湯船の温度を高めにしていたり、大人と同じ感覚で厚着をさせたりするのは良くありません。

少し薄着にする方が皮膚を鍛え、風邪引きなども起こりにくくなります。

かと言って寒いほど強くクーラーを効かせるのは好ましくありません。

幼児の体温調節機構はまだ発達過程です。

なるべく春夏秋冬の温度の移ろいを感じさせてあげ、よほどひどい痒みが襲う場合以外は、部屋の温度はあまり低くせず暑さに耐える訓練をさせるようにしましょう。

 

現代の赤ちゃんは保湿過多である

生まれたときから子供に保湿をし続けるのは良くありません。

人類の誕生以来、生まれたての赤ん坊のときから保湿剤を塗ろうという発想の歴史を見聞きしたことはありません。

人の皮膚は洗ったり、外用剤をつけたりしない環境に慣れて進化しています。

そのような人の皮膚に生まれた時から保湿剤をつけ続けるのは環境の大きな変化でしょう。

何もせずとも問題なく進化してきた人の肌にとって、保湿を続ける事はよい作用を与える可能性より、悪い作用を及ぼす可能性の方が高いと思います。

免疫機構が十分に発達していない上に外界の刺激も初めて受ける乳幼児の皮膚は、それが持つ自然の発達過程を抑制しない事が重要です。

保湿は、例えばふけのような白い小さな皮が皮膚を刺激し、この刺激が痒みを誘発しているような場合にのみ行うべきです。

 

食事制限は間違いである

アトピー性皮膚炎の治療で食事制限をする事は間違いです。

なぜならアトピー性皮膚炎と食事アレルギーはまったく別の病気だからです。

アトピー性皮膚炎患者のごく一部に、偶然食事アレルギーが合併することがあるだけです。

食事アレルギーの患者は、じんましん、全身蒼白、血圧低下、アナフィラキシー症状を示します。

アレルギーテストが陽性でも、実際にその物を食べてこれら何の症状も出ない事がほとんどです。

なのに医者から除去食をすすめられる為、母親は与えるべき食事のバラエティーが少なくなり、結果子供の栄養が偏ってしまいます。

アレルギー検査が陽性というだけで行われる食事制限は完全に撤廃されるべきです。

食事制限は、食べて、実際にじんましんやアナフィラキシー症状が起こる子供にのみ課すべきです。

また、和食が良いとか甘いものがダメなどと言うのはただの俗説で、全く根拠はありません。

授乳中の母親の食事制限が子供のアトピー性皮膚炎の予防に有効であるという論文がありましたが、ねつ造である事が分かりました。

 

アトピー性皮膚炎とIgEの関係

アトピー性皮膚炎の原因は、現時点でははっきりしません。

しかしIgEアレルギーとアトピー性皮膚炎が関係がないことは、多くの症例で明らかになっています。

例えば、アトピー性皮膚炎が改善しても血液中のIgE値はほとんど変化せず、高い値を保ちます。

IgEは新たに作られなければ、2~5日経つと血液中の濃度は半分になります。

つまりアトピー性皮膚炎が良くなった後でもIgE濃度が同じ高い値を保ち続けるのは、皮膚炎が良くなっていく過程でも、IgEは新たにどんどん作られているからなのです。

新たにIgEがつくられているにも関わらず皮膚炎が良くなっていくというのは、IgEは皮膚炎悪化に関与していないという事を意味します。

また、アトピー性皮膚炎が発症する生後2ヶ月頃ではIgEはほとんど生産されないし、遺伝的にIgEをまったくつくる事ができないIgE欠損症患者でもアトピー性皮膚炎が起こるのです。

さらに、IgE生産が多くならず正常範囲の人でもアトピーは起こります。

この事から見ても、IgEの値はアトピー性皮膚炎と関連性はありません。

 

早期の離乳食開始のすすめ

母乳は、新生児や乳児の消化吸収、代謝機能に適合するように変化します。

出産後10日もすればタンパク質濃度は1.4%程度まで落ちます。

ちなみに牛乳のタンパク質濃度は3%、人間の血清中のタンパク質濃度は6.5%ですから、1.4%がいかに低いかが分かります。

湿疹の部分から浸出液が出たりかさぶたが落ちたりすると、タンパク質と脂質がどんどんなくなってしまいます。

その為、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんの場合は離乳食を早期(4ヶ月頃)から始めるのが重要です。

初めは重湯から始め、つぶし粥、野菜汁、すりつぶした豆腐、白身魚などを順番で少しずつ量を増やします。

卵を試すのは離乳食の最後の方にしましょう。

中には生後8ヶ月で食べさせた方もいました。

抗卵白IgEが100以上と高かったのですが、何も起こりませんでした。

アトピー持ちの子供は離乳食をなるべく遅らせる、というのが今までの通説でしたが、最近の研究で食物アレルギーとアトピーは無関係であると分かってきました。

驚くべき事は、離乳食を開始する時期が遅いほど、2歳でのアトピー性皮膚炎が多かったという事です。

 

ステロイド外用剤の問題

ステロイドは確実に湿疹と痒みを治してくれます。

しかし、確実な方法であるからと言って安全な方法とは限りません。

佐藤小児科を受診した患者をステロイドを使用してきた患者と一度も使用していない患者の2群に分けて、ともにステロイドを使用せずに治療、調査しました。

その結果、顔の湿疹が消失する期間は平均でステロイド使用群6.4ヶ月、ステロイド不使用群で4.8ヶ月でした。

特徴的なのは、使用群ではその一部の子供で非常に長期にわたり治りにくい人がいたという事です。

また、いったん治った後の再発率は、使用群で不使用群の3倍近くに達しました。

ステロイドを塗布し続けなければ正常に機能しない皮膚になってしまうと危険です。

例えば麻薬中毒者は、麻薬を使用している間は苦痛を訴えたり凶暴になったりはしません。

麻薬を使い続けていると少しずつ効きが悪くなり麻薬の量が増えていきます。

それでも効いている間は正常人のようです。

しかしひとたび薬物がなくなると、激しい離脱症状が出現します。

ステロイドもこれと全く同じ事が言えます。

ステロイド依存及び離脱症状は、皮膚で吸収されたステロイドが血流を介して起こす、視床下部・下垂体・副腎系の機能不全とはまったく別の機構で起こっていると考えています。

すなわち、皮膚だけでステロイドホルモン系の機能不全が起こっているという事です。

しかし現時点では十分な証拠があるとは言えません。

今後の研究に期待したいです。

 




 

成人型アトピーが増えつつある

受診してくる患者の中に、幼少期にステロイドを使用し、いったんはすぐ治ったが、大人になってから全身にアトピー性皮膚炎を発症した例が少なくありません。

幼少期にごく軽症のアトピーであっても、その時にステロイド治療をした場合は、大人になってからステロイドの副作用症状として、アトピー性皮膚炎にはあまり起こらない特異な部位に皮疹を持つ成人型アトピーへと移行する可能性があります。

幼少期のステロイド外用が体に何か影響を及ぼしていて、成人になる過程の体の変化に伴って副作用が発症する、と考えています。

昔は成人までに8割以上のアトピー患者が完治していました。

しかし最近では、成人までに2割ほどの患者は症状が良くなっていますが、6割以上の患者は治らずに改善している状態にとどまっています。

アトピー性皮膚炎を抱えたまま思春期、青年期を迎えると、外見上の問題から種々の精神的問題を発生させます。

これは親からしたらとても不安な事ですが、なぜ成人になってまでアトピーが治らないのか、原因はよく分かっていません。

一説にはステロイド外用剤の多用とも言われていますが、はっきりしません。

 

掻く事を我慢させないで

「掻くと皮膚が悪くなるので、掻かせないようにしましょう」

と多くの教科書に書いてありますが、これは間違いだと思います。

痒みは痛みと違って我慢する事が非常に難しい感覚です。

我慢した痛みは、痛みが去った後に快感が残ります。

しかし痒みを我慢しているとどうでしょうか。

痛みとは逆に、不愉快な感覚が徐々にたまっていきます

そして、我慢の緒が切れると非常に激しく掻き壊すようになります。

また、掻けない間のストレスも相当なもので、精神的安定を崩す事になります。

掻いているとやめさせたい気持ちになるのは分かりますが、結局その内我慢が効かなくなり集中的に激しく掻き壊す事になります。

皮膚を保護する目的でガーゼと包帯を付ける事は重要な治療の一つです。

暑くならないよう、また強く締め付けたりしないよう、うまく活用しましょう。

 

アトピーを考える

ネパールでは入浴の習慣が全くありませんが、アトピー性皮膚炎の患者を見た事がないという話、

先進国では小児の20%程度にアトピー性皮膚炎が発症するという話があります。

このふたつの話をもとに原因をすべて説明しようとすることは危険です。

しかし、地域や文化の違いによって、アトピー性皮膚炎の発症率に大きな違いがある事は間違いないでしょう。

 

まとめ

勇気を持ってステロイドに頼らない治療法を選択しましょう!

 

ひとこと感想文

上記の通り、アトピー性皮膚炎の考え方、推測による原因、ステロイドを使わない治療方法はもちろんの事、

アトピー性皮膚炎の判断基準や典型的な皮疹、年齢による形態・分布の変化(ここでは載せていません)、などなど、親の知りたい事がほとんど全て載っていると感じます。

また、アトピーっ子のカラー写真や親の経験談、ガーゼや包帯による保護方法、などなど、正に痒いところに手が届く・・・といった印象を受けました。

文体の口調も柔らかく、こーゆー本にありがちな上から目線、決めつけ断罪論調も全くなく、人柄の良さが伺えます(会った事ないけど)

アトピーっ子を持つ全ての親におすすめですが、特に今現在ステロイドを使用していて、「脱ステしたいけど・・・実際どうなんだろう?」と思っている親の心強い味方になってくれる一冊です。

しかし脱ステは危険が伴う為か、詳しい脱ステ方法は載っていません。実際に脱ステを指導してくれるお医者さんを見つけましょう。

ちなみに佐藤先生は関西方面で活躍中の様です。

ただ、この書籍唯一の疑問点がありまして、「離乳食の早期開始」です。

理由は滲出液やかさぶたでタンパク質がなくなってしまうから、とだけありますが、早期の離乳食が原因で後々食物アレルギーになるのではなかろうか・・・という一抹の不安が拭えません。

そこらへんどーなんでしょ?

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